大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

徳島地方裁判所 昭和52年(わ)510号 判決 1979年3月23日

本店所在地

徳島県美馬郡貞光町字馬出四三番地の一〇

貞光食糧工業有限会社

右代表者代表取締役

辻雅弘

本籍並びに住居

徳島県美馬郡貞光町字馬出四三番地の一〇

無職(元貞光食糧工業有限会社代表取締役)

辻常市

明治四三年九月二一日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官秋本譲二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金四、五〇〇万円に、被告人辻常市を懲役一年に処する。

但し、被告人辻常市に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の平等負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、徳島県美馬郡貞光町字馬出四三番地の一〇に本店を置き、精麦及びブロイラの加工販売等を事業目的とする資本の総額三〇〇万円の有限会社であり、被告人辻常市は、昭和二七年六月から昭和五二年八月五日まで被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄していたものであるが、被告人辻常市は被告会社の業務に関して法人税を免れようと企て、

第一、昭和四九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額は三億一、二三五万八、九三五円でこれに対する法人税額が一億二、三四〇万六、四〇〇円であるにもかかわらず、売上の一部を除外し、架空仕入を計上し、棚卸を過少に計上するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和五〇年二月二七日同郡脇町猪尻の久保三六番地脇町税務署において、同税務署長に対し、所得金額は五、〇六六万八、四〇七円でこれに対する法人税額が一、八七三万三、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一億〇、四六七万三、三〇〇円を免れ

第二、昭和五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額は二億八、六〇五万七、二七〇円でこれに対する法人税額が一億一、二二九万二、五〇〇円であるにもかかわらず、前記同様の方法により所得の一部を秘匿したうえ、昭和五一年二月二八日前記脇町税務署において、同税務署長に対し、所得金額は七、四四一万六、九八三円でこれに対する法人税額が二、七六三万七、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税八、四六五万五、二〇〇円を免れ、たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人辻常市の当公判廷における供述

一、被告人辻常市の検察官に対する供述調書五通

一、被告人辻常市の大蔵事務官に対する質問てん末書四通

一、被告会社代表者辻雅弘の当公判廷における供述

一、辻雅弘の検察官に対する供述調書二通

一、辻雅弘の大蔵事務官に対する質問てん末書八通

一、証人三栖一朗の当公判廷における供述

一、証人小沼孝男の当公判廷における供述

一、証人柿埜昌彦の当公判廷における供述

一、証人室巻千代次の当公判廷における供述

一、竹田勝一の検察官に対する昭和五二年八月一八日及び同年九月二九日付各供述調書

一、竹田勝一の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一、平田淳の検察官に対する供述調書三通

一、平田淳の大蔵事務官に対する質問てん末書四通

一、中田信雄の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、篠田昌宏の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大蔵事務官作成の査察官報告書

一、大蔵事務官作成の査察官調書

一、大蔵事務官作成の納税証明書(上部余白に請求番号3と記載のある分)

一、阿佐恵子作成の上申書

一、平田淳作成の上申書

一、奥谷圭作作成の上申書

一、山口耕蔵作成の上申書

一、田岡正子作成の上申書

一、小西光恵作成の上申書

一、竹田勝一作成の上申書

一、山田明治作成の上申書三通

一、上平隆士作成の上申書

一、十川昭作成の上申書

一、松本勇作成の上申書二通

一、岡本トヨ子作成の上申書

一、辻雅弘作成の上申書

一、片山貞雄作成の上申書二通

一、大西勘助作成の上申書

一、井上公作成の上申書二通

一、浜口豊作成の上申書

一、阿佐一義作成の上申書

一、板谷正和作成の上申書

一、小西定作成の上申書

一、谷貞衛作成の上申書

一、喜田岩夫作成の上申書

一、青山敏子作成の証明書

一、香川寿美子作成の証明書

一、相島重之作成の証明書

一、村上正三作成の証明書二通

一、水貝尚徳作成の証明書

一、柿埜昌彦作成の証明書

一、小沼孝男作成の証明書

一、篠田昌宏作成の証明書

一、松本勇作成の証明書五通

一、久保三千年作成の証明書五通

一、辻恭子作成の確認書

一、辻雅弘作成の確認書

一、篠田昌宏作成の申述書

一、徳島地方法務局美馬出張所登記官作成の商業登記簿謄本及び抄本

一、押収してある法人税決議書綴一綴(昭和五三年押第一九号の一)、製品帳ノート綴一綴(同号の六)、粉麺飼料ノート綴一綴(同号の七)、粉麺飼料ノート綴一綴(同号の八)、封筒入修正申告関係書類一袋-六二枚入り-(同号の一五)、封筒入法人税修正申告書一袋-一五枚入り-(同号の一八)

判示第一の事実につき

一、竹田勝一の検察官に対する昭和五二年八月三一日付供述調書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書〔(自昭和四九年一月一日 至昭和四九年一二月三一日)と記載のある分〕

一、大蔵事務官作成の納税証明書(上部余白に請求番号4と記載のある分)

一、押収してある封筒入決算関係書類(昭和四九年度)一袋-一一枚入り-(昭和五三年押第一九号の二)、元帳(昭和四九年度分)一冊(同号の四)、仕入台帳(昭和四九年度)一冊(同号の九)、銀行勘定帳(昭和四九年度分)一冊(同号の一一)、売上帳(昭和四九年度分)一冊(同号の一三)、昭和四九年度小島工場決算書綴一冊(同号の一六)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書〔(自昭和五〇年一月一日 至昭和五〇年一二月三一日)と記載のある分〕

一、大蔵事務官作成の納税証明書(上部余白に請求番号5と記載のある分)

一、押収してある封筒入決算関係書類(昭和五〇年度)一袋-六枚入り-(昭和五三年押第一九号の三)、元帳(昭和五〇年度分)一冊(同号の五)、生鳥仕入台帳(昭和五〇年度)一冊(同号の一〇)、銀行勘定帳(昭和五〇年度分)一冊(同号の一二)、売上帳(昭和五〇年度分)一冊(同号の一四)、昭和五〇年度小島工場決算書綴一綴(同号の一七)

(法令の適用)

被告会社の判示各所為は各法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項に該当するところ、いずれの罪についてもその免れた法人税の額が五〇〇万円をこえるので情状により同法第一五九条第二項を適用し、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金四、五〇〇万円に処し、被告人辻常市の判示各所為は各法人税法第一五九条第一項に該当するところ、いずれの罪についてもその免れた法人税の額が五〇〇万円をこえるので情状により同条第二項を適用し、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪なので、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重いと認める判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年に処し、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右の刑の執行を猶予することとする。なお訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項本文を適用して被告人両名に平等負担させることとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 安芸保寿)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例